さて、晴れてキャンピングカーを手に入れたら、日頃のメンテナンスや運転する際のマナーや注意点についても知っておきましょう。
キャンピングカーを運転する際の注意点
以下では、初めてキャンピングカーに乗るかたに向けて事前に注意しておきたい事項をまとめています。
・移動中はベッドに横になれない
キャンピングカーの各種設備は、キャンプ場などで完全に車が停車した状態で使うことを想定して製造されています。
意外に思われるかもしれませんが、キャンピングカーが走行中にベッド(寝台)で寝ることは法律違反になってしまいますので避けましょう。
日本の法律では、車が走行中である間はシートベルトをして座席に座っていないといけないとされています。
また、運転席と居住空間が分断されているキャブコンの場合や、キャンピングトレイラーの場合には、車が走行中の間はキャンピングシェルの座席に乗ることもできません。
キャブコンであればキャビン内の助手席、キャンピングトレイラーの場合にはリード車(ヘッド車)に乗って移動しなければなりませんので注意しましょう。
・全席シートベルトを!
これはキャンピングカーに限らず基本ですね。
6歳未満のお子様がいらっしゃる場合にはチャイルドシートも必須になります。
・走る、曲がる、止まる、各種動作には余裕を持って!
というのも、キャンピングカーは通常の車と違って、ふんだんに設備を搭載している関係上、車重が非常に重たくなります。
そのため、停車時にはタイヤやサスペンション、車軸に大きな負担が、発進時にはエンジンに、止まる際にはブレーキに強い負荷がかかります。
高速走行時に対向車や天候によって強風を受けようものならグラッとハンドルにくることも。
また、死角も多くなることからカーブやバック時にはいっそうの注意が必要になります。
ブレーキを踏んでも、慣性力が働き、なかなかスピードが緩まりません。
慣れるまでは低速運転でならし運転感覚をつかみましょう。
急加速、急ハンドル、急ブレーキになるような運転は避け、早めのブレーキ、そのほかナビを活用するなどして「焦らずに済む」運転環境を整えておきましょうね。
・タイヤのバースト
・サスペンション
・ブレーキの利き
・高さ制限にはご注意を!
デパートなどの商業施設の駐車場へ入る際や陸橋の下やトンネルをくぐる際などに気を付けたいのが高さ制限です。
つい忘れて突っ込んでしまった場合には、他人も自分もつらい思いをすることになります。
不安な場合は面倒でもいったん手前で降りて確認してから通行するのも手ですね。
・駐車場はあらかじめ探しておくと精神的にラク!
軽キャンパーやコンパクトなバンコンであれば問題ありませんが、大きなサイズのキャンピングカーの場合には事前にインターネットや地図アプリを活用して、あらかじめ自車でも利用できる駐車場を複数マークしておくと精神的に非常に楽になります。
交通安全上にも良いので、外出時にはしっかりと計画を立ててから利用するようにしましょう。
・違法駐車は厳禁!
駐車してはいけないところにキャンピングカーを止めてしまうとトラブルになってしまいます。
警察のお世話になると、点数が引かれてしまうほか10,000円(駐車禁止違反)~25,000円(放置駐車違反)もの反則金もかかってきます。
せっかくのレジャーを台無しにしてしまわないよう、キャンピングカーを駐車する場所には十分注意しましょう。
というのも、キャンピングカーが広く普及するのに伴って、一部オーナーのマナーの悪さが問題となっています。
それが原因で、一般市民のキャンピングカーオーナーへのイメージが悪くなっているとも。
「今までは駐車できていたのに訪れてみたら、突如、キャンピングカー禁止となっていた・・・」
なんていう事例も珍しくありません。
他人も自分も安心・安全にトラブルに巻き込まれることなくキャンピングカーに乗れるようマナーには気を付けたいものですね。
キャンピングカービルダーやカーディーラーで構成された「日本RV協会」では、キャンピングカーを使いこなすうえでのマナーについて注意喚起を行っています。
以下は、一部抜粋です。
【公共駐車場でのマナー厳守10ヵ条】
・長期滞在を行わない
道の駅や高速道路のSA・PАなどは宿泊施設ではないので、そこにおける休息は、必要最小限の仮眠にとどめ、連泊・長期滞在を行なわないようにしましょう。また、キャンピングトレーラーを公共の駐車場に放置して、むやみにヘッドのみで遠出をするようなことは避けましょう。
・キャンプ行為は行わない
道の駅やSA・PAなどでは、たとえ短時間の休息であっても、オーニングを広げたり、椅子・テーブル・バーナーなどを車外に持ち出して、キャンプ場のように利用することはやめましょう。また、周囲に配慮し特に早朝・夜間の大きな話し声や生活音に注意しましょう。
許可なく公共の電源を使用しない
許可なく公共の電源にキャンピングカーを接続し、その電源を利用することはやめましょう。
・ゴミの不法投棄はしない
旅行中や移動中に発生した生活ゴミは、ゴミ箱があっても投棄することはやめましょう。また食器などは使い捨てのモノは避け、基本的にゴミは持ち帰ることを心がけましょう。
・トイレ処理は控える
公共駐車場では、カセットトイレやポータブルトイレの処理は控えましょう。
・グレータンクの排水は行わない
生活排水用のグレータンクの処理も、その場で垂れ流したり、側溝に流したりしないように心がけましょう。また、施設に許可なく給水することはやめましょう。
・発電機の使用には注意を払う
公共駐車場における発電機の使用は、時と場合を充分に考慮し、他の利用客が休息している時や近所に民家があるような場所では、使用しないようにしましょう。
・オフ会の待ち合わせは慎重に
オフ会やクラブミーティングで公共駐車場に集合する場合は、他の利用客から駐車場を占拠して騒いでいると誤解されないように振る舞いましょう。
・車椅子マークの所に駐車しない
道の駅や高速道路のSА・PАにある車椅子マークの駐車スペースには、健常者のみが乗車している場合は駐車しないようにしましょう。
・無駄なアイドリングをしない
無駄なアイドリングによる排気ガスの流出や騒音は、大気汚染や地球温暖化にも悪影響をもたらすので、エンジンストップを心がけECOドライブを行いましょう。
以上のことは、公共駐車場を使用する利用者のマナーとして 最低限守っていただきたく思います。
とあります。
キャンピングカーは、あまりにも快適であるためつい「公共の場」であることを忘れてしまいがちです。キャンプ場と違って、皆が皆、キャンピングカーを良く思っている人たちばかりではないということを意識して注意しておくとトラブルに巻き込まれにくくなります。
(場所によっては、不良のたまり場となっていたり治安の悪いところもありますので注意が必要です。)
・車中泊時は防犯対策を!
さて、無事に利用可能な駐車場所へ移動できたら、そのまま車中泊をする機会もあるでしょう。
このとき、キャンピングカーで寝る際には防犯上必ずロックをかけて就寝しましょう。
車のキーはすぐ取り出せる所に保管しておき、いざというとき(たとえば自然災害の発生)に対応できるようにしておくことが大切になります。
使った後のキャンピングカーのメンテナンス
最後に、無事帰宅したあとのメンテナンスについても簡単に触れておこうと思います。
キャンピングカーも普通の乗用車と同じように以下のようなメンテナンスが必要になることがありますので覚えておきましょう。
・車全体の洗車
キャンピングカーも、定期的に洗車しないとどんどん汚れていきます。
キャンピングカーの多くは強化繊維プラスチックでできているためキズには強いのですが、汚れはやや目立ちがちです。
特に「バーコード」と呼ばれる状態になると汚らしい見た目になってしまいます。
バーコード汚れになってから間もないのであれば、キャンピングカー専用のFRP樹脂ボディクリーナーやカーシャンプーを使えば汚れは落とせることが多いです。
足元の広い脚立とステッキ付きスポンジを用意して安全に洗車を行いましょう。
高圧洗浄機を使うのも便利ですが、エアコンの室外機や換気扇、パッキンなどには当たると故障や水漏れの原因になるので注意が必要です。
時間がたってどうしても落ちない汚れは、キャンピングカービルダーにてボディ研磨してもらうか、オールペイント(ガラスコーティングなど)をしてもらうことで対応できます。
ただ、結構な費用がかかるため日頃からしっかりカーシャンプーとすすぎを行っておくことが大切です。
・各種オイル交換
(ブレーキオイル交換
クラッチオイル交換
エンジンオイル交換)
各種オイルの交換は、車のマニュアルに記載の期間で交換しておけば間違いないです。
高級・高性能なオイルを長く使うよりも、ほどよい価格のオイルを3か月~6か月おき程度に頻繁に交換するほうが車には優しいでしょう。
(ただし、あまりにも安い粗悪品には注意です)
廃油はたいていのガソリンスタンドで回収してくれるので給油ついでに相談してみるとよいでしょう。
・ブレーキパッド交換
ブレーキをかけたときに「キー」と軋む音がしたらブレーキパッドの交換時期です。
人や車両にもよりますが早ければ3万km程度で交換時期を迎えることがあります。
ディスクブレーキのパット交換は分解整備になるため整備工場でやってもらうと良いでしょう。
・タイヤ交換
タイヤやブレーキ周りは安全に直結する重要な部分です。
キャンピングカーを使用する前には、タイヤの空気圧をチェックしておきましょう。
タイヤの空気圧が低い状態で走行するとスタンディングウェーブ現象とよばれるタイヤが激しく変形しながら走る状態になります。
すると、タイヤゴムがひび割れ、摩耗、荷重負荷による圧迫などが重なって突如、爆発(破裂)してしまいます。
これがタイヤのバーストで、高速走行中など最悪の場合、車体のコントロールができなくなり死亡事故につながってしまうこともありえます。
タイヤのバーストを防ぐためには、2~3年おきにこまめにタイヤ交換をする、使用前にはオイルやラジエーター水などのチェックのほかタイヤの空気圧もチェックする、使用後には積載物をなるべく下ろして限界積載重量よりも大幅に負担の少ない状態にしておくようにしましょう。
長時間、キャンピングカーを使わないようであれば4輪ともジャッキアップして保管しておくとタイヤの痛みを防止することができます。
・ワイパー交換&ウォッシャー液補填
ワイパーは冬場の凍結や夏場の直射日光と高温で痛むことがあります。
冬場は停車時にはワイパーを上げておきましょう。
ワイパーは軋んだ音がしてスムーズに動かなくなったら交換時期です。
ウォッシャー液の補填とともに自分で簡単にできるメンテナンスなのでチャレンジしてみましょう。
・サブバッテリーの充電・交換
車内設備で使うサブバッテリーは2~3年程度で寿命が来ることがあります。
1万円~5万円程度で販売されているので、交換時期が近づいてきたらチェックしておくと良いでしょう。
・水タンクの入れ替え
水タンク内やポンプ、ホース類には雑菌が繁殖しやすいです。
蛇口には浄水器を取り付け、毎回、使うたびに最初の数秒間は水を入れ替えましょう。
もったいないですが洗浄用に50L~100Lくらいの水を用意してタンクやポンプ内を洗浄すると効果的です。
ほか、車検では以下のような点検・整備を行うことが良くあります。
ベルト交換
サビ止め塗装
グリスアップ
車体下&エンジンルーム洗浄
冷却水・不凍液補充
燃料、噴射系統洗浄
ラジエターキャップ交換
ゴムパッキンのチェック
ホース類のチェック
など、ほか多数
まとめ
キャンピングカーは、フルコンでない限り、通常のベース車両に常に数多くの車内設備を積みっぱなしにした高負荷状態に置かれます。
そのため、エンジンやシャシー、ブレーキ、タイヤなどに大きな負担がかかり続けています。
キャンピングカーを利用する際には、マナーを守るとともにご自身やお子様の安全のため、使用前点検や日常のメンテナンスを怠らないようにしましょう。