キャンピングカーの人気が高まるにつれて、選べる種類が増えてきているのは嬉しい事ですが、「いったい、どれを選べばいいの?」と困惑されるかたも多いことでしょう。そこで今回は、キャンピングカーの選びかたについてご紹介していきたいと思います。
キャンピングカーのタイプ別特徴と選び方
キャンピングカーには、単体で動くことができる「自走式」なものと、他の車で引っ張って使う「牽引式(リアカー式)」があります。
自走式では、
・バスサイズ
・トラックサイズ
・バンサイズ
・軽自動車サイズ
のキャンピングカーがあって、
牽引式(リアカー)も、軽自動車サイズの小さなものから、バスサイズに勝るとも劣らない大型なものも存在します。
そんなキャンピングカーを選ぶときには、「車のサイズ」「乗車する人数」「利用シーン」「日常使いにも兼用したいかどうか」「どうしても欲しい設備」「予算」を考慮して選ぶと後悔しにくいでしょう。
以下では、キャンピングカーの「タイプ別の特徴」と「どんな人に向いているか」についてまとめています。
軽キャンパー
【軽キャンパーの特徴】
▲キャンピングカーで最も小さいサイズ
◎価格が安い
◎維持費が安い
◎取り回しに優れる
◎駐車場に困らない
◎ワゴンやバンベースなら普段使いと兼用できる
×車内の広さ、設備、動力性能ともにかなり限定される
軽キャンパーとは、軽自動車をベースにキャンプ仕様に仕立て上げられたキャンピングカーの総称です。
大きく分けて「ワゴン・バンをベースにしたタイプ」と「軽トラックをベースにしたタイプ」の2種類が存在します。
このうち、ワゴン・バンをベースにしたタイプでは広さは軽トラックベースに劣るものの、見た目は普通の軽自動車と変わらないことが多く、普段使いとしても兼用することができるのでコストをさらに集約できます。
一方の軽トラックベースの車両は、見た目は立派なキャンピングカーで良くも悪くも目立つルックスとなりますが、天井スペースを活用できて車内は若干広め。
キャンピングシェル(居住空間)が脱着可能なタイプも存在しますので、普段は軽トラック、休日は軽キャンパーとして使うこともできなくはありません。
(キャンピングシェルの脱着は、慣れれば30分ほどで完了できます)
(キャンピングシェルを保管しておく場所の確保が必要になります)
ただ、軽トラックの荷台は、人が乗るために設計されているわけではないため移動時には強い振動がかかることがあります。
壊れやすいものなどを乗せる場合には、注意しましょう。
さて、軽キャンパーを実際に使うとなると、快適に利用できる人数は1人まで。
高速道路などでの動力性能、走行安定性にもやや不安が残ります。
2人でも使えないことはないですが、車内設備や荷物を積むとスペースが限定されます。
2人で横になると常に密着するようなかたちになり、長時間の旅路は窮屈に感じるかもしれません。
特にキャンプの場合など、テントを張れるスペースがある場合には普通に大型テントを張ったほうが快適に過ごせます。
そのため、テントを張りづらい場所で車中泊する1人旅(旅行やイベントなどの場所取りなど)や、軽キャンパーでしかいけないような釣りの穴場スポットなどへのアウトレジャー
を良く楽しむ人に向いているといえるでしょう。
総じて、軽キャンパーはキャンピングカーのなかでは初期費用、維持費ともに安いものの、適する人は思いのほか限定されます。
安さだけで選んでしまい購入後に後悔する人も。
「狭いスペースをいかに快適に活用するか」というテクニックを含めて、意外と上級者向けの選択肢ともいえますね。
【快適な乗車人数】1人
【車のサイズ】最小
【予算】100万円~300万円
【利用シーン】1人旅、釣り、ボードなどアウトレジャー
【向いている人】単身者、子育ての終わったシニア世代
バンコン
【バンコンの特徴】
・キャンピングカーのなかで利便性、兼用可能性、経済性ともにバランスが良い
・普段使いと兼用が可能
・普段の運転や駐車場に困らない
・ベース車両の耐久性が高い
・リセールバリューが高め
・総じて失敗しにくく初心者向け
バンコンとは、トヨタ ハイエースや日産 キャラバンといったバンタイプの車をベースにキャンプ向けにコンバート(カスタム)したキャンピングカーになります。
大きな費用はかかりますが、普段使いと兼用できるのでコストパフォーマンスに優れているのが特徴的です。
見た目は普通のワンボックスカーと変わらないため目立つこともなく、周囲の目や駐車場の確保などに悩むこともありません。
特別大きな車ということもありませんので、バス型のキャンピングカーと違って運転に困ることもないでしょう。
ベースとなる車体は、スタンダード~ロングタイプまで自由に選択でき、車内設備のレイアウトもある程度、自由にカスタムできます。
(横置きシートなど自由にカスタムしたい場合には8ナンバー登録がおすすめです。)
初期費用や維持費は、軽キャンパーよりも増加しますが車内の広さ、設備、動力性能などキャンピングカーとして必要な機能で「失敗したなぁ」と感じるリスクは少なくなります。
仮に失敗してしまっても、他のタイプに比べればリセールバリューは高めであるため損失を抑制できます。
総じて、バンコンはキャンピングカー初心者~上級者まで幅広い層に向くオールマイティなタイプといえるでしょう。
主には中学生以下のお子様がいらっしゃるファミリーにも人気となっています。
(高校生以上となるとお子様と一緒に利用する率が低下することも。ご購入を検討される際は計画的にいきましょう。)
【快適な乗車人数】2人~4人
【車のサイズ】中
【予算】300万円~800万円(エアコンを中心に快適装備をつけると高額になりがちです。)
【利用シーン】家族でのキャンプ、旅行、スキーやスノーボード、海水浴、サーフィンなど
【向いている人】ファミリー層全般、キャンピングカー初心者
キャブコン
【キャブコンの特徴】
・キャンピングカーのなかで最もキャンピングカーらしいルックスを誇る
・バンコンよりも広いスペースと天井領域
・良くも悪くも目立つ
・ベース車両の耐久性が高い
・本来、貨物用車であるため乗り心地は硬め
キャブコンとは、貨物トラックをベースにキャンプ向けにコンバート(カスタム)したキャンピングカーになります。
(余談ですが、運転席&助手席部分を「キャブ(またはキャビン)」といいます)
キャブ上のスペースも最大限に有効活用したいかにも「キャンピングカー」な見た目が特徴的です。
バンコンと比べて居住空間には高さがあり、かがんで歩かなくて済むので腰を傷めずに済みます。
車内の広さも広く感じられバンコンより快適に過ごすことができます。
車内設備についても、一般的にはバンコンよりも選択できるオプションが多く、高機能なキャンピングカーに仕上げることができます。
キャンピングシェル部分はガラス繊維強化プラスチックが使われることが多く、バンコンボディで使われるステンレス銅よりも断熱性・遮音性に優れます。
キャンピングカーらしいルックスで最高峰の機能を求めるならキャブコンが一番でしょう。
デメリットとして、普段使いと兼用するのには勇気がいる、本来貨物用であるため振動は大きめ、周囲から好奇の目で見られる、トンネルや市街地では通行や駐車場に困ることがある(高さや幅)など走行時には何かと気を遣います。
総じて、キャブコンは、キャンピングカーのメリット・デメリットを熟知した「本気」なオーナーに向いているといえるでしょう。
【快適な乗車人数】3人~5人
【車のサイズ】中
【予算】600万円~1000万円以上
【利用シーン】家族でのキャンプ、旅行、スキーやスノーボード、海水浴、サーフィンなど
【向いている人】ファミリー層全般、乗用車とは別に本格的にキャンプカーを愉しみたい人向き
バスコン&フルコン
【バスコン & フルコンの特徴】
・キャンピングカーのなかで最も大きい(自走式)
・見た目は普通のバスと変わらないためスマート
・人を快適に乗せるよう製造されているため乗り心地が良い
・車内のいたるところにダクトがあり空調の効きが良い
・エンジンが非常にパワフル&トルクフル
・燃費、駐車場代、税金など維持費は高額
バスコンとは、その名の通り、バスをベースにキャンプ向けにコンバート(カスタム)したキャンピングカーになります。
フルコンは、ベースとなる車両がなく、エンジンやミッション以外のシャシーからすべてキャンピングカーメーカーが独自に架装したキャンピング専用車になります。
その多くはバス(やキャブトラック)サイズとなっており、海外製が多くを占めます。
バスコン、フルコンともにベーシックな構成だけでも1000万円を超えるような高額さが特徴的となっています。
そのため、バスコン、フルコンはキャンピングカーファンの憧れとして崇められることも。
また、本格的なキャンピングカーファンであっても、キャブコンの武骨なルックスを好まない人が選ぶのがバスコン、フルコンです。
スマートなボックススタイルであり、一見すると普通のマイクロバスなためキャンピングカーと分かることはありません。
運転免許に関しては、
1.乗車定員が10人以下になるよう架装されていること
2.車両重量、最大積載量が以下の制限未満であること
(平成19年6月1日以前に取得した場合:8t / 5t、 平成29年3月11日以前に取得した場合:5t /3t、平成29年3月12日以降に取得した場合:3.5t / 2t)
であれば、普通免許でもバスコンを運転することが可能です。
11人以上の乗車定員、制限を超える車重の場合には中型免許が必要になりますので注意しましょう。
乗車定員10名以下の比較的コンパクトなバスコンであれば、ワンボックスカーと大差ない取り回し(最小回転半径)で運転できます。
バスコンの弱点は、窓が多いことによる断熱性の低下や冬場に窓に結露が溜まって視界が悪くなること、狭い道路での通行や駐車場さがしに苦労すること、場合によっては中型免許取得の負担がかかること、海外製のフルコンの場合、故障時の部品調達などに時間がかかる点などです。
ほかにも燃費や税金、駐車場代などの多額の維持コストもネックとなります。
とはいえ、車内の広さ、快適性、走行性能、安全性などキャンピングカーにとしての性能は最高峰にあたるため憧れる人は多いです。
総じて、バスコン、フルコンは お金に余裕のあるかた向けといえるでしょう。
【快適な乗車人数】10人以下~29人
【車のサイズ】大
【予算】1000万円~
【利用シーン】複数家族や大家族でのアウトレジャー
【向いている人】大家族、富裕層
トレイラー
【トレイラーの特徴】
・キャンピングカーのなかでは唯一、自身ではエンジンを持たないリアカー式
・ベース車両に縛られないため車体形状、大きさ、デザインともにバリエーション豊か
・点検する部分や痛む部分が少なく維持費は安め
・とはいえ、車検代や税金、駐車場代などはかかる
・カーブやバック時の操作には慣れが必要
・牽引車と切り離して保管する時には、別室として使用可能
トレイラーとは、これまでのタイプとは違って自身ではエンジンを持たない、ほかの車で引っ張って使うキャンピングカーになります。
バンコンや軽キャンパー(ワゴン・バンタイプ)と違って、普段使いの車両として兼用することは不可能なので、自家用車とは別にトレイラーを購入する費用がかかることになります。
サイズ別では、大人5人以上が横になれるような超大型トレイラーも存在しますが、あまりメジャーではなく日本での交通事情を考えて小型~中型のトレイラーが主流となっています。
トレイラー最大のメリットは、その広さにあります。
トレイラーは、ベース車両に縛られることがないため、色、形ともに自由な発想で製造されていることが特徴的です。
スタンダードなボックス型から、一風変わった形状まで選ぶことができますよ。
実際に購入するとなると、お持ちの車に牽引装置を装着する費用として10万円程度、トレイラーのベース価格、ほか車内設備の必要オプションを追加する費用などもあるので実売価格+100万円程度の余裕は見ておいたほうが無難です。
また、実際に所有するとなると、保管場所(車庫証明に必要)もいります。
自宅の敷地内や2km以内に私有地などタダで置いておける場所があればよいですが、駐車場を借りるとなるとランニングコストになりますね。
このほか、自動車税が1年で10,000円程度、重量税が2年で13,000円程度~26,000円程度、自賠責保険が6,000円程度、車検整備費用として2~5万円程度がかかります。
任意保険は、基本的には牽引する車の対人・対物保険でカバーできることが多いようですが、このあたりはご加入されている会社に確認が必要です。
ちなみに、トレイラーの破損に備える車両本体への保険については適用外となることが多いので、必要なかたは別途、加入が必要でしょう。
などなど、乗用車よりは安いですが、けっこうな出費とはなるので考えどころです。
その後、実際に使用するとなると高速道路を走行したり、フェリーに乗せたりする際に取られる料金も高めになりがち。
市街地、アウトレジャースポットでは、ともに駐車場探しに苦労したり、狭い道や対向車との行き来では気を遣います。
移動中はトレイラー部分に人が乗車することはできず、荷物もあんまり多くの荷物を積んだまま走ると、走る、曲がる、止まるといった車の基本動作が不安定になるので危険です。
ハイパワーなSUVをリード車(ヘッド車)にする必要が出てくるでしょう。
このほか、多くのトレイラー(特に欧州製)では構造上、空調設備を搭載できるようにはなっておらず苦労することも。
運転操作に関しても、カーブやバック操作は慣れが必要で、車の運転が苦手な人には不向きです。
上記のような理由があることから、トレイラーはそのメリット、デメリットを十分に納得されたうえで選ぶようにしましょう。
総じて、かなりの上級者向けといえるでしょう。
【快適な乗車人数】1人~4人程度
【車のサイズ】最小~特大まで
【予算】100万円~400万円程度
【利用シーン】キャンプ、旅行、スキーやスノーボード、海水浴、サーフィンなど
【向いている人】単身、ファミリー層でキャンピングカー上級者向け
まとめ
以上をまとめると、
軽キャンパー
・基本的に1人で使う、釣りの穴場など狭いスポットが行先の中心という「軽サイズじゃないとダメ」という事情がある人向け
(徹底してコストを抑えたいという理由だけで選ぶと危険(後悔しがち)な面も。)
バンコン
・普段使いとしても使ってコストを抑制、でも機能性も譲れない、そんなニーズを満たす中庸で費用対効果に優れるオールマイティなタイプ。
キャンピングカー初心者から上級者まで幅広く適する。
キャブコン
・いかにもキャンピングカーという王道的存在。ただし、高さ制限、乗り心地、走行安定性、周囲の好奇の目、車体費用、駐車場の確保など多くの苦労も自己解決(納得)できる「本気な」人向け
バスコン・フルコン
・車内の広さ、空調の性能、走行性能、乗り心地などすべてに最高峰を求める人向け。
(狭い道での走行不安、駐車場探しなどの苦労もいとわない人向け)
トレイラー
・価格は安めながら使いこなすにはカスタムスキルが必要で上級者向け。キャブコン以上に好奇な目で見られることも。
といった具合になります。
購入しようかどうしようか悩んでいるときが一番楽しい時期だったりします。
あこがれのあまり、盲目的になることもありますが、買ってから後悔することがないように購入後の苦労話も良く知って、ご自身にあった現実的なキャンピングカーを選択するようにしましょうね。
本記事が、皆さまのキャンピングカーライフに少しでも役立てば幸いです。
最後までお読みいただきありがとうございました!